歓喜な色を潜める事もせず、

彼女は私に笑みを浮かべては、その白雪のような冷たい頬を赤く、熱く染めあげた。

同じ空間に居ると云うのに、彼女と私の周りだけが異様に熱い。

年季の入った気に入りのヨレたシャツが肌に張りつき、長年連れ添った相棒を持つ右手の汗にも嫌悪感を持つ。


何処で間違えたのだろうか。どこで手放したのだろうか。ドコで見落としたのだろうか。

自身のゴツリとした輪郭に沿って汗が雫を落とす。一滴アスファルトを汚した。それだけで彼女はその色を深く煮詰め、形の良い唇を三日月のように撓(しな)らせた。

喉が、渇く。

「…何が可笑しい。」

彼女の髪が、少し揺れた。白髪混じりの自身のとは違って、絹に墨を漬からせたかの様なよく手入れをされた髪だ。

見慣れた、髪だった。


その揺らぎが答(とう)だと云わぬがばかりに、彼女の三日月は沈黙を愛した。

それは少し、夜の静寂さと似ていた。

彼女は"夜"そのもので在った。

その夜が、人の灯火をもぎ取ったのだ。

恥じらいも、慈悲も無く、淡々と幕を落としたのだろう。

それが真実だと伝えるかのように、彼女は足元の固形物を関心も無く、紅黒く踏みつけた。

 

 

 

 


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小説のように急に書きたくなったお話し

ではでは,お休みなさい…(-_-)zzz

 


 



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林 由貴