唯々眠りたかっただけなのだ、

 

 

ほころぶ花々に包まれて、淡く薫る蜜雨(ミツウ)に見送られながらも

この悪夢の奥底に立ち住まう楽園に辿り着きたかったのだ

 

軋む身体に何を問う。

 

何を求め、何から逃げまどえば良いのだと問うのだ。

 

この我が身へに、と。

 

 

蛹(サナギ)から蝶となる可能性と対とばり、蝶と化さずに蛹のま々

朽ち果てる可能性をも怖れ、血塗られた哀を纏(マト)いて滅びた黒を

抱いて何処へ行く

 

眠りがほしいのだ、唯々白に染め上げるが為の深き眠りがほしい

だけなのだ

 

罪孕みし蝶が裁きの焔に身を焦がる々果ての、その先に。

浄化されし裸(ラ)の鳥(チョウ)が空を舞う先々の陽光を愛すのならば。

 

炎を纏いて、

 

    焔に炙られ続けるその先を。

 

魚(ウオ)求め営むば、鳥の性(サガ)だと高らかに謳うなら。

 

 

 

唯々眠りたかっただけなのだ、

 

ほころぶ花々に包まれて、淡く薫る蜜雨(ミツウ)に見送られながらも

この悪夢の奥底に立ち住まう楽園に辿り着きたかったのだ

 

軋む身体に何を問う。

 

何を求め、何から逃げまどえば良いのだと問うのだ。

 

この我が身へに、と。

 

 

何も知らぬ花として、葉を散らしたかったのだ

 

 

 

 

 

 

 

 



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Master, Yuki Hayashi.