【宇宙/創世史.第二,前3/2:1-4,後3/2:5-7 】

3/2:1
楽園が失われ,白き女創造主が支配する"階級社会"と
言う名の,恐怖政治が行われて居る世界…

その中で,白き息子は冷めた目で落ちぶれた聖域を
眺めて居た

記憶を失った父と幸せそうに笑う母を見て,皮肉った
笑みを浮かべて居る中で,創造主に創られた父の妻子
で在る自身と,母よりもあの死んだ女を選び続けた
父への愚かさと共に,父を誘惑したあの女へと…
考えを巡らせて居た

あの女の所為で愛して止まなかった楽園を失った
怒りに,白き息子は心身共に震わして居た

そんなある日,楽園の外に足を運び,小さな花畑を
見つけた白き息子は初めて出会ったのだ

温かくも小さな黒き娘を-----…


3/2:2
初めて見た幼姿と共に,温かくも柔らかな肌を持つ
黒き少女に白き息子は驚き,そして自ら黒き娘に
惹かれ,関わって仕舞う事となる

その日から,毎度の様に清純で愛らしい黒き娘と
関わる白き息子は何時しか,身も心も癒されて行き,
時を進んだある日の事,脳内を刺激する様な香と共
に,様子がおかしい黒き娘を心配した白き息子は
驚愕する

黒き娘の隠された股に見た事も無い存在と,そして,
そこから流れ落ちる赤を目に焼き付けた白き息子は
本能で顔を近づけ,そして罪に口を潤わす事で知る,
この黒き娘こそがあの-------------…

そう感じとった瞬間,自身の身体に強い異変が現れ,
それと同時に現れた黒き男性に因り,白き息子を心配
する黒き娘は連れ去られて仕舞った

小さな赤い涙が染みた花畑に白き息子だけが残り,
二度とあの花畑に黒き娘は現れる事は無く,白き息子
はかつての父と同じ"男"と落ちぶれた

3/2:3
偽りの聖域に長い間,白き息子はあの黒き娘の事のみ
を考え,そしてそれと同時に強い怨みと苦しみと共に,
かつて父だけが持って居た穢らわしき性器の恐怖を
味わって居た

自分の父を狂わせ,愛して居た幸せな家族と聖域を
崩壊させ,創る事を止めさせた創造主に"死"を創らせ
たあの女の"子"で在ったと言う真実

そして,荒ぶる自分の心を唯一癒やしてくれたと云う,
もう一つの真実の狭間で苛まれて居た

そんなある日,楽園外で人々に知らない旋律を聴かせ
て居る者の存在が楽園内で噂と成り,興味を持った
創造主が初めて部外者を楽園内に手招く事が起こり,
そしてその存在を見て白き息子は再度驚愕する事と
なる

その手招かれた者こそが,黒き娘で在ったのだ

あの頃よりも成長した姿で落ちぶれた聖域に足を
踏み込み,そして永久に何一つ変わる事も無い白き
息子とその権力者達に,黒き娘は微笑んだ


3/2:4
黒き女から繋がれる言葉の旋律に全ての権力者は
酔いしれ,心を震わす…

"歌"と言う芸術を初めて味わう面々と共に,白き
女創造主も心奪われ,黒き女を賞賛してはこの聖域に
留まる事を許可された
その中で白き息子も他と同様に黒き女を褒め称え,
そして内心で黒き女と周りの面々に冷たく嘲笑った
のだ

その日から聖域最大の恐怖は幕を開く事となる

創造主に気に入られた黒き女は高い身分と成って尚,
美しい伴侶や子や権力等の全てを欲す事は無く,その
代わりに自由に聖域外を出る許可だけを望んだ

だが,それを頑なに拒んだ創造主に因って,嫌がる黒き
女は幽閉される事となり,日に々々衰弱して行った

創造主の命に因り,白き息子は笑顔を貼りつけて黒き
女の世話をし,そこで初めて明かされる黒き女の真実
に白き息子は大いに恐怖し,そしてそれ以上の興奮と
共に最大の禁忌,そして悲願の報復に手を染め始める
事となる

そう…,衰弱した黒き女に自身の劇毒を少量に含んだ
"食事"をさせる事で,憎悪する黒き女と創造主を共に
陥れる為に,白き息子は黒き女に甘く妖艶に微笑んだ
のだ

頬を染めた黒き女は,楽園で閉じ込められて初めての,
その料理を感謝しながら残さず食べきり,血肉となり
て,茨に潜めては土中に排出し,埋めた

それがかつての実の父親と,白き息子の母親ともつゆ
知らずに,黒き女は食べて,残骸を排出しなければ
動けられない…

そんな,身体の持ち主で在ったのだ


3/2:5
聖域は最大の混乱に陥って居た

毎日の様に一人々々が姿を眩ませ,後に聖域外で杭に
打ちつけられた頭だけが残された事件が聖域で
起こったのだ

創造主は酷く頭を悩ませて居た,死を与えるのは自身
しか居無いのにも関わらず,次々と残虐に死を遂げて
いる生首達を見る度に気分が悪くなる

周りの者達は恐怖にうち震え,部屋から一歩たりとも
外へ出る事は無く,聖域外の者達も創造主への怨みで
聖域内に強行侵入しようし,白き息子の裏切りに因り,
黒き女は怒り狂った創造主達の前で死刑囚として
牢に入れられて仕舞った

怒り狂った創造主は刃向かう者達を全て死なせ,その
度に白き息子に依存し,ますます罠に嵌まって行く
崩壊寸前の創造主に,トドメとして白き息子は白き
創造主を強姦した

父とあの女の様に,創造主に性器を創り,
そして-------…

その行為の情を知る事の一切無い,創造主の力を全て
奪う行為を終わらせたのは,何時か見た黒き男と
共に,牢を出た黒き女の登場で在った

妖しく微笑んだ白き息子はその姿を消し,力を奪わ
れ,精神崩壊した白き女を抱きとめる黒き男は呟く

戦争が始まる,と


3/2:6
黒き男の言葉通りに創造主の座をめぐって,内外の
戦争は永く行われて行った

白き息子を主とした反乱派と,黒き男が指示する
保守派の二勢力が争う中で,黒き女は愚かにも白き
息子や次々と死んで行く彼等の事を思い張り巡ら
しては,そして,劇毒に蝕まれた身を強く抱きしめな
がら自虐的な笑みを浮かべた

本当は知って居たのだ白き息子の全てを…

だが,悲しみと共にそれ以上の片愛を抱き,そして
美しくも少しずつ,中身を食い散らかす劇毒や悪意
にまみれた見かけだけの料理や関わりを全て,口に
含み入れた事実や何もかも向き合いながら,美しき
白き息子を想う

直ぐに死なせ無い様,的確に黒き女を痛めつける
白き息子に傷をつける事さえままならなくても,
毒が廻り,言う事を聞かなくなった身体でさえも,
一心に白き息子だけを止めようとする黒き女の
直向きさに,無視し続けた酷くも醜い情念が溢れ出す

本当は君の事----------------…

その全ての意味を知った時にはもう,黒き女は
殺されて居た

自身の持つ剣で臓部を一刺しに,奥深く---------…

地響きが鳴り始め,大地がひび割れて聖域が崩壊して
行く中で白き息子は悲痛に叫び上げ,直様黒き女を
強く抱きしめる

そして黒き女が死んだ事に因り,白き女創造主は
黒き男創造主と共に降伏し,永くも渡る戦争は
反乱派側が勝利した


3/2:7
白き息子の悲願は全て達成された,全てを崩壊させ,
全てを終わらせた

なのに白き息子の心は穏やかに満たされる事は
無く,逆に酷すぎる激痛や後悔に心身共に強く苛ま
れて居た

自身の身勝手さだと分かって居ながらも,白き
息子は二人の創造主に悲願する
全てを捨てて永久に償うから,どうか黒き女との
記憶を全て消して欲しいと悲願した

そんな哀れな白き息子を見,二人の創造主は自身
等の罪滅ぼしとし,受け入れては全ての記憶を消し,
そして二人の創造主や生き残った者達は皆地位や
身分を全て白き息子に捧げ,この惑星から逃げ出した

その瞬間,太陽惑星は爆発し,巨大なエネルギー体を
さらけ出す惑星の欠片は宇宙全体に散らばり,落ち
ぶれた楽園はこの日で幕を閉じた

そして又永過ぎる時を得て,新たな世界がまた幕を
開けるのだ…


光有れ,
ありったけの呪いを込めた法は,頬を染める哀れな
罪人の額に柵みと云う名の口付けを落とした
------------…

 

 

 

 

 



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林 由貴