貴方に一片の思いを込めて、私は花束を贈ろう。
貴方から見て、この花はどんな言葉を伝えるのだろうか。
将又、私同様に、何一つも発しないのだろうか…。
鮮やかにめかし込まれたリボンがまるで、宙に舞う二対の蝶のようだ。
美しく巻かれた包装紙が、子を抱く親のように、花束を優しく包み込む。
葉と花と空間が、大舞台で奏でられるオーケストラのように、共演する。
貴方に何を贈ろう、貴方に何を渡そう、貴方に何を話そう。
そうだ、花束だ。
貴方はそうでは無いのかも知れないが、私は貴方を愛している。
でも、きっとこの想いは貴方には届かない。届く筈が無いんだ。
愛しては、いけなかった。
ならば花束を造ろう。花束を贈ろう。拙い花束で貴方に、愛を込めて。
貴方に一片の思いを込めて、私は花束を贈ろう。
貴方から見て、この花はどんな言葉を伝えるのだろうか。
将又、私同様に、何一つも発しないのだろうか…。
それで良い。その想いと共に、儚く枯れて行けば良い。
愛しては、ならなかった人へ。
私から、貴方に、花束を贈ろう。
愛しています。と。