…嗚呼、

 

それが貴方の悲願なのね……ッ!

 

 

恍惚とした悦の水源が、渇いた私の杯を思う存分に満たす。
それと同様に、硬い強さを表し続ける彼女の青々しさに笑いが込み
あげるのと同様に、"したたかさ"も 強さ の一つだと云う認識が
不足して居る青き愚かさが非常に不愉快で、愉快でたまらない。

 

それしか が、強さしか無いと云う認識の狭さこそが、彼女を此処まで
上(ノボ)りあげる要因だと云う事と共に、手早き成果と脆き美貌を
生むのだろうか…。

 

 


「貴方はそれを叶えた後、どんな世界で生きようとするの?」

 

 

彼女は口閉じる。

その品良くも撓(シナ)らせた鋭き下弦の月が、月無き新月となった。
いいや、その目蓋(マブタ)の裏では忙しなく動いて居る事だろう。
そうで無ければ、その腹芸すら出来無くては神が味方につかない
限りは真っ新(サラ)で此処まで短時間で上りみせる事は不可能
だろうに。

 

この穢らわしくも愛おしい聖円の赤黒き太鎖を前にして。

 


彼女の代名詞でも在る憎まれ口が消え失せ、湯水のように止まる事の
無い知性が行き場を無くして迷うたその姿に初めての失笑を我が胸で
感じとり、私の中で彼女の青々しさに強い色づきを与えた事だろう。

 


彼女は化け物だ。この聖円に相応しき美と智を授けられた、
ただの青き、飢えた獣の一頭でしかない。

 


この聖円で血生臭くも輪を重ねた人間が、たかが美しく勢いだけの
若獣に負ける筈が無かろうて。
いや、この昂ぶった慢心こそが最大の要因になる事だろうか…。

 

 

嗚呼…!我等が敬服する断罪者・オルヴァス神よ!
彼女の存在一つで、その悲願一つで変わるるモノがあります事
でしょうか。私の利益に損失が発生します事でしょうか。

 


恍惚とした悦の水源が、渇いた私の杯を思う存分に満たす。
それしか が、強さしか無いと云う認識の狭さこそが、彼女を此処まで
上(ノボ)りあげる要因だと云う事と共に、手早き成果と脆き美貌を
孕むのだろうか…。

 

さあ…!この口噤(ツグ)んだ女身 一つで聖円相手に何処までやれる
のかが見物だろう!

 

 


その深淵とした悲願と引き換えに、失いと呪いの重圧に見事耐えるが
良いわ。

 

 

 

 

-----------------------------------------…

 

 

 

 

 

 

 

 



Copyright(C)2020-2024. tankyu-nichiwa. https://www.yuki67hayashi.art/

Master, Yuki Hayashi.